株式会社クッポグラフィー ウェディングフォト・ファミリーフォトの撮影

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美味しいカフェラテとラテアートの関係-ラテアートをする理由と自宅で簡単に作るコツ

ラテアートとは、カフェラテなどにミルクとコーヒーのコントラストを使って、バリスタが作るアートのこと。

なぜラテアートをするのか、どうやって作っているのか、美味しいカフェラテとラテアートの関係とは。ラテアートに関するさまざまなことを知って、クッポグラフィーのカフェでのコーヒータイムを楽しんでもらえたらと思っています。

また、合わせて自宅でも簡単にできる、ハートのラテアートを作る方法もご紹介。あなたもラテアートが作れるようになるかも!?


ラテアートに込めた想いとは

バリスタの僕が、ラテアートする理由はひとつだけ。

それはお客さまを笑顔にしたいからです。

ラテアートをみて笑顔になり、飲んだ時の美味しさで笑顔になり、飲んだあとも余韻で笑顔になってほしい。

そんな想いを込めて描いたラテアートには、誰かの背中を押したり、疲れを一瞬でも忘れさせたりと、ちょっとだけ幸せになれるチカラがあると信じています。

誰しもが日々の生活の中で、大変な時や頑張らないといけない時がありますよね。

僕は、クッポグラフィーのカフェに来ていただいたお客さまには、1杯のコーヒーを飲むほんのひとときでも、ほっこりと幸せを感じてほしいと思っています。

バリスタにとっては毎日何度も淹れるコーヒー。でも、お客さまにとっては大切な方と過ごす時間のお供だったり、リラックスするための一杯だったり、その日の中で特別な一杯かもしれません。

一人ひとりのお客さまに寄り添う一杯のコーヒーを、責任持って作っていきたいのです。


ラテアートと美味しさのヒミツを知っていますか?

実は、ラテアートを描いても描かなくても味に影響はありません(あえてラテアートをしないお店もあります)。

でも、美味しいカフェラテとラテアートには切っても切れない関係があるんです。

美味しいカフェラテを作ることに重要なことは、空気量・温度・質感もクリーミーな、ツヤのあるミルクを作ること。

そのミルクの美味しさが、ラテアートにも大切になってきます。ラテアートをきれいに描けるということは、そのミルクで作られたラテは美味しいという証拠。

理想のミルクで作られたラテは、飲み終わったカップの底にアートが残ったまま。ホットラテを飲み終わる頃のカップも、ぜひのぞいてみてくださいね。


ラテアートの種類

世界大会も開かれ、日々新しいデザインが生まれている、ラテアート。

作り方には2通りあります。

1つめはカップに注ぐミルクの対流だけで絵を作っていくのがフリーポアという方法。ハートやチューリップやリーフなどのモチーフが代表的ですね。

2つめは表面にミルクの白い円を作り、そこにピンなどを使って絵を描くようなスタイルの、エッチングという方法。クマやウサギ、時には似顔絵など、細かい線などを必要とする時に用いられます。

僕の場合は、フリーポアでよく作ります。提供スピードが早く、温度やミルクの質が保たれやすいからです。

あとは・・・まったく絵心がないからです。(笑)


カフェラテ・カプチーノ・カフェモカ・カフェオレの違いとは

ラテアートを作るのはカフェラテだけではありません。基本的にコーヒーとミルクを使った商品に対して作ることができます。その商品は大きく分けて4つ。カフェラテ・カプチーノ・カフェモカ・カフェオレです。(カフェオレはラテアートをすることはあまりありません)

それぞれの大きな違いは、ベースになるコーヒーの種類。抽出方法によって作られるコーヒーの味や濃さがまったく異なってきます。

基本的に使われるコーヒーは2種類。エスプレッソドリップコーヒーです。

エスプレッソは、微細に挽いたコーヒー豆に強い圧を加え、うまみ成分をぎゅっと凝縮したとても濃厚なコーヒーのこと。ドリップコーヒーは、粗く挽いたコーヒー豆にお湯を注いで抽出したコーヒーのこと。

使うコーヒーとミルクの割合で名称が変わってくるので、それぞれ説明していきます。

【カフェラテとは】

エスプレッソとミルクを7:3の割合で注いだもの。濃厚なコーヒーにクリーミーなミルクが合わさり、とても飲みやすいコーヒーです。ホットでもアイスでもお作りすることができます。

【カプチーノとは】

エスプレッソにカフェラテより空気を多く含ませたミルクを6:4の割合で注いだもの。

ふんわりとした口当たりですが、泡の量が増えミルクの液量が少なくなるので、カフェラテよりビターな味になります。

ホットで提供されるところが多く、ミルクの上にココアパウダーを振っているカフェも多い印象です。

【カフェモカとは】

エスプレッソにチョコレートソースを溶かしミルクを注いだコーヒーです。

カフェラテにチョコの甘みが加わり、ちょっと甘いものが欲しい時に僕は注文します。

【カフェオレとは】

ドリップコーヒーにミルクを1:1の割合で注いだコーヒーです。

抽出に特別な機械もいらないので、抽出器具さえあればご家庭でも簡単に作ることができます。(クッポグラフィーにはカフェオレというメニューは置いていません)

クッポグラフィーのカフェでは、カフェラテ・カプチーノ・カフェモカはホットの場合のみラテアートいたします。

ぜひ、ラテアートとともに、味の違いも楽しんでみてくださいね。


コーヒー豆によって変わる、味の印象

当店ではカフェラテをはじめ、ミルクを使ったメニューは人気があります。豆によって味の印象が変わってくるので、ご紹介させていただきますね。

【ニカラグア】

 オレンジピールのような優しい酸味とコクがあり、クリーミーなミルクとの相性もばっちり。

【エチオピア】

 レモンティーのようなフルーティーな豆ですが、ミルクと合わせると何も入れてなくてもほんのりと甘く感じます。

【グァテマラ】

ミルクチョコレートのような柔らかい甘みとコクがあり、飲みやすい味。

【ブラジル】

ナッツのような香ばしさを感じ、ビターチョコのようなほろ苦いコクが生まれます。

 

どのお豆もミルクと合わせて美味しくなるように、毎日バリスタは調整をしています。

また、当店では週替わりで上記2種類の豆からお選び頂けます。実際に豆の香りを嗅いでいただき、お好きな香りでお作りします。ぜひ、お気軽に聞いてくださいね。


自宅でもコーヒータイムを楽しもう!本格的カフェラテの作り方

最近では自宅で過ごす時間も増え、自分で淹れたコーヒーを楽しむ方も多くなったように思います。また、家庭用のエスプレッソマシンも販売され、ご自身でラテアートを楽しめる時代になりましたね。


ここからはおうちでのコーヒー時間をより楽しんでもらうために、本格的なカフェラテの作り方、そしてラテアートのコツや、必要な器具のご紹介をしていきます。


【準備するもの】

  • エスプレッソマシン

電気式のエスプレッソメーカーが主流です。家庭用でもカフェに引けを取らない性能のマシンが、続々と販売されています。


その他でも直火式エスプレッソメーカーの「マキネッタ」もおすすめです。イタリアで広く使われており、抽出力は電気式にも負けていません。小さいので場所も取らず、火にかけるだけという手軽さも魅力です。

  • ミルクスチームをする機械

電気式のエスプレッソマシンについていることが多く、ミルクに空気を含ませながら、温めることができるもの。これにより、ツヤのあるミルクを作ることができます。

代わりに、手軽に購入できるミルクフローサーでも、温めたミルクからふわふわの泡を作れますよ。

  • コーヒーグラインダー

こちらは、コーヒー豆を細かい粉状にするための機械です。電気式や手動式もありますが、エスプレッソを抽出するには非常に細かくする必要があるので、豆を買ったお店で挽いてもらってもいいと思います。

  • その他

ミルクジャグや、お気に入りのカップの準備も忘れずに。好きなコーヒー屋さんで豆の購入もおすすめです。当店で豆をご購入いただいた客さまは、お挽きすることもできます。

【ラテアートを描くための3つのコツ】

ラテアートを作るためには美味しいカフェラテを作ることが必要です。そのコツをお伝えしていきます。


その1:上質なエスプレッソの抽出

甘味、酸味、苦味のバランスの良い味とトロッとした質感を意識して抽出してください。

良いエスプレッソには、カップの上層部にクリーミーな茶色の泡ができます。その部分をクレマと言います。ラテアートはクレマの上に描くのです。

その2:クリーミーでツヤのある、スチームミルクの作成

これが、ラテアートを描く上で一番難しいところ。ミルクがうまく作れるようになったら、ラテアートはすぐ作れるようになりますよ。


では、ミルクの作成方法です。1杯分のミルクは約10秒で作るとします。


はじめの3秒で空気を少しずつ少しずつ入れます。

この時バリスタは目でミルクの回転と空気量を見極めて、チチチチッ、チチチチッと空気の入る音を耳で確認をしています。

残りの7秒でミルクを温めつつ、かく拌してキメ細かい泡にしていきます。

かく拌しすぎてもミルクが熱くなりすぎてしまいます。逆に、ミルクの温度ばかりに気をつけていると空気の泡のかく拌が足りずに、表面がボコボコのミルクに。少しずつ小さな泡を作り、かく拌しやすいフォームを作りましょう。

含ませる空気の目安は、カフェラテだとカップに注いだときに1㎝の泡を乗せられるようにすること。

温度は、60度の±2度以内に作成したいところ。熱すぎるとミルクの甘みを感じにくくなってしまうんです。

ちなみに、温度計がなくても手だけの感覚で適温に作れることが、バリスタスキルで必要です。

個人的には、56度の少しぬるめのミルクで飲むのが好きです。ミルクの甘味を1番に感じられ、ごくごく飲めるラテが好きなのは僕だけかも。(笑)

その3:カップに注ぐ(描く)

ミルクができたら、さっそくラテアート作りに挑戦してみましょう。

ミルクをスチーミングしたら、すぐに注ぎ始めます。どんどんミルクの泡と液体が分離し始めるからです。

注ぐスピードや、液量をコントロールしながら、ラテアートを作っていきます。


自宅でも簡単にできる、ハートのラテアートの作り方

バリスタがラテアートの練習をする時、まず最初に挑戦するのはハートのラテアートです。たくさんの基本が詰まっていて、簡単そうで実はちょっと難しい。(笑)

でも、これが作れるようになると、いろんなラテアートに応用できるんですよ。

【作り方】

1.エスプレッソを注いだカップを傾けて持ち、高い位置から円を描きながらミルクを注いでいきましょう。クレマの下にミルクを滑り込ませるように、嵩(かさ)を上げていきます。

2.カップの傾けを水平に戻しながら、水面とジャグの注ぎ口を近づけて、クレマの上にミルクのフォームを乗せるイメージで注ぐと白い円が浮いてきます。

3.浮いてきたら、ジャグを斜め上に上げながらミルクを細く出して、円の中心を切るように手前から奥にジャグを動かします。

どうでしょう。ハートができていますか?

カップを持つ手と、ミルクを注ぐ手が連動して動かすことができないと、こぼしてしまったり、きれいなハートになりません。

キレイなラテアートを作るには練習は必須ですが、一番大切なのは一杯いっぱい大切に作るということです。誰かのために作る練習が上達の近道かもしれませんね。


バリスタスタッフの成長記録

クッポグラフィーのカフェには僕以外にもバリスタがいます。

そのうちの一人をご紹介させてください。

佐藤 円(まどか) さんです。みんなからは、円(えん)ちゃんと呼ばれています。

バリスタ未経験からこの道を選び、毎日厳しいトレーニングをしている彼女。努力家な円ちゃんは、お店に練習用の豆と牛乳を持ってきて練習に励んでいます。

また、勤務が休みの日には、外部のバリスタスクールにも通い、周りのスタッフが驚くべきスピードで成長をし続けています。

そんな彼女のラテアート成長記録をご紹介。先ほどハートのラテアートの描き方をお伝えしましたが、円ちゃんが練習で描き続けてきたハートのラテアートに解説を付けながら、その成長ぶりを見ていただきましょう。

これは、彼女が人生で初めて練習で注いだ時の写真です。


ミルクを作成するときに、空気を入れすぎていてフォーム量も多く、表面がモコモコしてしまっていますね。

白い円の周りが白く見えるのは、注ぐときにクレマを壊してしまって混ざりきってしまっている証拠。茶色と白のコントラストが大切なのです

しかし彼女のすごいところは、初めてカップに注いだラテにミルクの円がきれいに描けているところ。大抵は、ミルクが白く浮いてこないまま、カップがいっぱいになってこぼしてしまいます。

こちらの写真では、茶色と白のコントラストがきれいにでていますね。嵩を上げるときの注ぎ方が上達していることがわかります。

ただ、まだフォームが多くモコモコしているようにみえます。アート部分もハートを描こうと、最後に切る事を意識しすぎてしまっていますね。

ミルクジャグを低い高さのまま手前から奥にスライドさせてしまったため、ミルクの表面を削ってしまってこのような形になりました。

こちらは、初めてお客さまにラテを提供した時の写真です。

本来は、まだ提供レベルではありませんが、練習中ということをお伝えしたところ「それでも作ってください」と言ってくださったお客さま。

コントラストはありますが、まだミルクの質がよくありませんね。この頃はまだ、温度も安定しておりません。


ただ、モコモコしている感じではなくなっているので、空気量のコントロールができてきました。 

ハートが作れるようになってきた頃の写真です。

コーヒーとミルクのコントラストもきれいにでていて、ミルクの表面にもつやがみえるがわかりますか?また、ハートのラテアートでの一番難しいと言われる「切る」ときの動作もできていますね。

温度も安定して適温でできるようにもなり、お客さまへ安心して提供できるレベルとなりました。この頃、一生懸命に練習している円ちゃんの姿をよく見ていたのを覚えています。

この写真は一見すると、ひとつ前のラテアートの方がきれいに描けているように思います。

しかし、よく見てみるとハートの中にハートがいくつか重なって、線のように見えませんか。


こちらは、ミルクジャグを左右に振りながら描いていく、高度なテクニックを要する「レイヤーハート」というラテアートにチャレンジしています。


基本のハートも難しいのに、さらに高みを目指して積極的に難しいことにチャレンジする円ちゃん、素敵です。

こちらは、最近の写真。

カップの傾けとハートを切る動作も連動してできており、きれいなレイヤーハートになっています。温度も質感もさらに安定して作れるようになりました。

ここまでくるのに、たった3か月。驚きのペースでみるみる上達しました。

常に上を目指して練習をする姿は、僕だけでなく他のバリスタ達にも良い影響を与えてくれています。

お客さまだけでなく、他のバリスタにもいつも笑顔で太陽のような存在の円ちゃん。彼女はクッポグラフィーのカフェになくてはならない人です。

さらに円ちゃんは今、より難しい「リーフ」というモチーフにチャレンジしています。ぜひ、お店で円ちゃんを見かけたら、リーフをリクエストしてみてくださいね。

また、同じ豆、同じレシピで作ったラテでも、バリスタによって味が違うといいます。海外では、カフェはバリスタで選ぶと言われているんですよ。

僕自身も、「あなたのコーヒーが飲みたいから来ました」、「あなたの作ったコーヒーを飲んでバリスタを目指したいと思いました」など、嬉しいお声をいただける時があります。

僕だけでなく、バリスタみんながさまざまな想いを持ちながら、お店に立っています。


クッポグラフィーのカフェにお越しの際は、バリスタ一人ひとりが出す味や、ラテアートの雰囲気も楽しんでもらえたら嬉しいです。お客さまにしか気が付かないことがあるかもしれませんね。


先日、いつも来ていただいているお客さまから注文を受けている時のこと。そのお客さまが少しだけ元気がないような気がしたんです。普段はしない、目の前でラテアートをさせていただいたところ、それをそのお客さまはとても喜んでくれました。


「実は仕事で少し失敗しちゃって落ち込んでいたんですが、きれいなラテアートととってもクリーミーな美味しいラテを飲んで元気が出ました。今まで飲んだコーヒーの中で、一番優しい味がしました」

という、とっても嬉しいお言葉をいただきました。たった一杯のラテアートに乗せた想いが伝わった気がして、僕も笑顔になりました。


やっぱり、コーヒーが美味しかったですとお声をいただくこと、そしてラテアートに込めた想いが伝わった時には僕自身も幸せになれるんですよね。


だから僕は、これからもバリスタを続けますし、ラテアートをし続けます。