未経験で飛び込んだフォトグラファーの道 支えてくれた“お客さまの言葉”と“憧れの存在”
すべての人が心の支えになる写真を持っている世の中をつくる。
クッポグラフィーがミッションとして掲げるこの言葉と出会い、大学卒業後、未経験でフォトグラファーの道に進んだ女性がいます。
その道は、楽しいことだけではなく、不安や難しさで押しつぶされそうになる日もあったといいます。それでも前を向いて進めたのは、お客さまからもらった言葉と、目標とする憧れの存在が支えてくれたから。そしていつか自分も、心の支えになる写真を撮りたいという強い思いがあったから。
今回は、新卒・未経験でクッポグラフィーのフォトグラファーになった、田中結をインタビュー。入社2年目の春、どのような思いで日々の仕事と向き合っているのかを伺いました。
田中 結(たなか ゆい)
フォトグラファー。2023年 立教大学観光学部卒業。同年、クッポグラフィー入社。在学中からクッポグラフィーでアルバイトとしてフォトグラファーの仕事を経験し、入社して1か月で独り立ちをした。撮影以外にも、駒沢公園スタジオのインスタグラムの投稿や、ペットと一緒に撮影をすることの楽しさを広めるためのお客さまとのコミュニケーションを担当している。
人を喜ばせられる仕事をしたかった 手段に選んだのはカメラ
ーー入社して1年が経つそうですが、いかがですか?
田中:ようやく仕事を楽しめるようになってきました。
ーーそれまではなかなか楽しめなかったのですか?
田中:もちろん楽しいこともありましたが、不安と緊張、自信の無さで土みたいな顔色だったねって先輩から言われたこともあります。
ーーそうだったんですね(笑) 無事、2023年5月にフォトグラファーとして独り立ちをすることもできたそうですね。
田中:はい。先輩と久保社長が、クッポグラフィーの写真のレベルに値するかをチェックして合格できたらデビューしますが、4か月間に渡る練習期間では、先輩たちがフィードバックなどにとことん付き合ってくださって本当にありがたかったです。
ーーフォトグラファーというと、写真関係の専門学校であったり、美術系の大学を出ている方が多い業界と聞きますが、田中さんはどちらでもなく観光学部で学ばれていたそうですね。
田中:そうですね。私のような進路を選んだ人は、周りにいなかったです。実は高校時代は、ウェディングプランナーになりたいと思っていたんですよね。
人に喜んでもらうことがとても好きで、中学生のときには、友人の誕生日のために、お祝いのアルバムをつくったり、サプライズで動画をつくったりも。
ーーそれはすごい!
田中:高校受験そっちのけで朝から晩までつくっている姿を見た母や友人たちから、ウェディングプランナーとか向いているんじゃない?って言われて。ホスピタリティやビジネスについて学べる観光学部であれば、ウェディングの仕事にも役立てられるかなと思って受験をしました。
勉強だけではなく、実際の現場も経験したかったので、在学中には結婚式場で接客のアルバイトもしていました。結婚式では、この日この場所でしか感じられないような、新郎新婦や出席者の思いに触れることができて。自分の知り合いではない方の結婚式なのに、感動して涙が出てしまうこともあって。ウェディングの空間が心から好きだなぁと思える経験になりました。
ーー就職活動では、ウェディング業界を中心に受けたのですか?
田中:はい。でも、ウェディングフォトグラファーの採用に絞って受けていました。人を喜ばせるための手段が、写真とカメラに変わっていったんです。
ーーいつ頃から写真にこだわっていたんですか?
田中:ちょうどコロナが流行していた頃でした。iPhoneで撮影することはもともと好きだったので、思い切ってカメラを購入して。そうしたら、どはまりしちゃったんです。
出かけたときに写真を撮ったり、自分で募集をかけて友人カップルを撮ったりもしていました。撮影のオンラインサロンにも参加していたので、そこで自分が撮ったものを見せてレビューをもらったりも。どんどん写真の世界が好きになっていきましたね。
ーー好きなことを仕事にできるのは幸せなことですね。
田中:そうですね。大学時代の4年間、スポーツジムでもアルバイトをしていたのですが、心から好きだと思えることを仕事にしているスタッフの方たちを日々目にしていて。私はそこでの仕事は好きでしたが、運動自体が特別好きではありませんでした。そこで働く人たちは運動やトレーニングが大好きで生き生きしていて。そんなスタッフがいるジムだからこそ、お客さまも楽しんでくれているんだなと感じて。私も社会人になったらそうありたいと思っていたんです。
半径5メートルの世界で 心の支えになる写真を届けたい
ーークッポグラフィーの採用試験を受けようと思ったのはどうしてだったのですか?
田中:就活に向けて、ウェディングフォトグラファーの採用をしている会社を調べていましたが、大手の会社以外はなかなか検索で出てこなくて。絶対もっと会社があるだろうと思って、ある日、インスタグラムで検索をしてみたんですね。目に留まったのは、クッポグラフィーの写真でした。
ーーおぉ…。
田中:撮影した方がどこに所属しているのかを調べたら、クッポグラフィーのホームページにたどり着いて。見てみると、インスタで見たフォトグラファー以外の写真も胸を打つものばかりだったんです。
ーー写真がきっかけで入社したいと思ったんですね。
田中:写真だけではなく心を動かされたのは、掲げるミッションでした。「すべての人が心の支えになる写真を持っている世の中をつくる」この言葉を見たときに、ものすごい衝撃が走って。ビビッときたっていうのはこういう瞬間のことを言うんですね。
就活をしていたとき、自分はどんな写真を届けたいのだろうって、何度も自問自答をしていました。誰かの心の支えになるような写真を撮りたいという思いが自分の中にもずっとあって、クッポグラフィーのミッションと一致してびっくりしました。
ーー運命的な出会いですね。
田中:確かにそうですね(笑) そこからクッポグラフィーのことを調べていくうちに、言葉だけではなくそれを写真で体現していると感じたのも大きかったです。誰か一人だけの写真が魅力的ではなくて、そこにいる皆さんがミッションを体現する写真を撮っていて。しかも、写真だけではなく、スタジオ空間や、場を彩るお花や着物などにも共通した思いが込められていました。「ここで働く人たちはどんな人なんだろう。私もここで学びたい。めちゃくちゃいい会社を見つけた!」と、半ば興奮状態のままでカジュアル面談を申し込んだ日のことをよく覚えています。
大学卒業時に家族写真をクッポグラフィーで撮影した田中。普段はなかなか言えない感謝の気持ちを伝えて思わず涙も。心に残る一日になったと話す。
ーー田中さんは、他に同業他社の内定もいただいていたそうですが。
田中:最後は、「写真」と「人」で決めました。クッポグラフィーに内定をいただいてから正式入社までの期間、アルバイトとして働く機会をもらったので、より理解を深めた上で入社を決めることができたと思います。
お客さまの思いを引き出して、その人らしさやありのままの今の姿を残す写真が好きでした。世の中に影響を与えるような写真を撮ることよりも、私は目の前の人のために写真を撮りたいと思っていて。同じ思いを大切にしている会社がクッポグラフィーでした。
あと、フォトグラファーの方たちの写真への熱量が高くて、本当に写真が好きなんだなって感じる瞬間がたくさんありました。クッポグラフィーの写真と人の魅力を肌で感じた上で入社をしたので、今迷いがなく働くことができています。
他職種のプロフェッショナルと一緒に働くことができることも魅力の一つ。バリスタやフローリスト、ヘアメイクアーティストやマーケターなどが繋いでくれたバトンを引継ぎ撮影に臨んでいると話す。
ーー田中さん自身にも、心の支えになるような写真はあるのですか?
田中:実は先日、去年1年間の写真を100枚現像してアルバムにまとめてみたんです。クッポグラフィーでアルバイトをしながら、自分自身、ちゃんと現像をして形に残したことが無かったなと思って。現像したものを見てどんな気持ちになるのかなという検証も兼ねてやってみました。
ーーそれはいいですね。選んだ写真はどんなものが中心でしたか?
田中:去年は大学生活最後の1年でした。友人やパートナーと過ごした何気ない日の写真であったり、バイト先の写真だったり。フォトグラファーとしてデビューしたときにもらったプレゼントの写真も。特別な場の写真というよりも、日常のささやかな幸せが見えてくるようなものばかりでした。1年間の移り変わりを感じられるように、ストーリーが見えてくるようなアルバムをつくっていきました。
ーー田中さんが残したかった大切なものは、日常にあったんですね。
田中:そうなのかもしれないですね。社会人になったこともあって、これまで出会った大切な人たちとの別れやすれ違いがあったり、周りの環境の変化で失ったものもあったり。自分もそうですけど、みんなの変化にも寂しさを感じることがあるんですよね。でも、忘れたくない時間を写真に残すことで、その変化にも前向きな気持ちになれることがわかりました。
ーーアルバムは見返したりしますか?
田中:しょっちゅうしていますね。疲れてエネルギー不足だなって思ったときなどに見返しています(笑) 自分の周りにはこんなにも素敵な人たちがいるんだって思い出すことができて、元気になります。大切な時間が携帯フォルダに埋まっているのはもったいないので、今後も現像をしていきたいです。
内定から独り立ちまで 苦楽を支えてくれた“バディの存在”
ーー内定から入社まで、アルバイトとしてフォトグラファーの経験も積んだそうですが。独り立ちしてデビューするまでは大変でしたか?
田中:写真は趣味の範囲でしかやったことがなかったので、もちろん大変でした。でも、バディとしてついてくれていたこまちさんが支えてくれたおかげで、今日までやってこられたなと思っていて。
ーーバディですか。新入社員の教育担当のような存在でしょうか?
田中:一般の企業だとそういった存在になるのかもしれませんね。新入社員1人につき先輩1人がついてくれて、1年間撮影技術からお客さまとのコミュニケーションまであらゆることを教わります。私の場合、入社前から関東在住だったということもあって、在学中からアルバイトとして撮影の練習をさせてもらって。知り合いの方にモデルになってもらって撮影をさせていただき、こまちさんがフィードバックをしてくれる経験を重ねていきました。
お客さまの思いを聞き出したり、楽しんでいただきながら撮影をすることは簡単なことではありませんでした。最初は、こまちさんがお客さまとコミュニケーションを取ってくれる中で、私は元気に遊ぶお子さまを撮影するところから始まりました。今では両方を一人で行っていますが、ただ撮影をするだけではないところが、簡単に誰にでもできることではないなと痛感しましたね。
こまちさんだけではなく、他のフォトグラファーにも写真を見てもらってフィードバックをもらっていました。皆さん忙しいのに嫌な顔一つせずに付き合ってくれて、あたたかかったです。
ーーフィードバックは自分からお願いしていたのですか?
田中:先輩たちにたくさん声をかけて、何度もお願いしていました。
ーー時には厳しいアドバイスをもらうことも…。
田中:ありましたね。でも皆さん、写真を良くするために、お客さまのことを思って言ってくれているので、素直に受け止めることができました。その先の自分が一人でお客さまと撮影をすることを思うと、落ち込んでいる暇なんてなかったですね。
これまで先輩たちからもらったフィードバックの言葉が綴られたノートは、今でも撮影前に読み返すという。ノートは田中にとって“お守り”のような存在。
ーーデビュー後はいかがでしたか?
田中:最初は撮影を楽しめずにいました。思うようにいかないことばかりで。いつもこまちさんに相談に乗ってもらいながら、よく泣いていました。
お客さまからの厳しい声もいただくことがあって、その後は撮影が恐くなったこともありました。
ーーどんな声だったのですか?
田中:お客さまが望んでいたような写真が撮れていなかったときに、もっとこういう写真が欲しかったと言われることもありました。
写真をお送りした後にメールで言葉をいただいたのですが、落ち込んでしばらく立ち直れずにいました。撮影に入るのが恐くなってしまった時期もあって。
でも、返事をお送りするときにこまちさんが教えてくれたことを受け止めていく中で、大切なことが見えてきて。どんな思いでお客さまはこのメールを送ってくださったのか。どういう経緯で撮影に来てくれたのか。撮影に来てくださるところから、写真を受け取るまでの背景までを想像をしながらお客さまの気持ちに寄り添うことを教えてくれました。
ーーその経験で、何か変化はありましたか。
田中:もっとお客さまを知ることを大切にしながら撮影するようになりました。これまでは、先輩の撮影を見ながら、家族みんなが楽しんでいて、自然と笑顔になるような空気づくりを自分もできるようになりたい。こういう写真を撮らなきゃと型にはめようとしていて、今そのとき向き合わなくてはいけないお客さま自身の気持ちに寄り添えていなかったのかもしれないと反省して。
お客さまは一人一人違いますし、その時々で、笑顔のお子さまがいる一方でずっと泣いているお子さまもいます。走り回るお子さまを追いかけながら、思い通りに撮影ができないなと最初は思っていましたが、その考えが間違っていたなと思っていて。全てがその子の魅力で、ありのままの姿を残すことがクッポグラフィーの写真なので、型にはめた間違った理想を一度捨ててみたんです。
そうしたら、不安や緊張がなくなって、余計なことを考えずに撮影することができるようになりました。
ーーつらいときに逃げずに続けられたのはどうしてだったのでしょうか?
田中:こうありたいと思える憧れの存在が、そばにいてくれたからだと思います。職場ではバディのこまちさんでした。悩んだ時にはいつも進むべき方向を導いてくれて。
私が目指したい人は、好きなことをやりながらイキイキと輝いている人です。これまでは、高校時代の友人や、アルバイト先の同僚、そしていつも愛情を注いでくれる母親の存在があったから。目標とする人がいる限り、頑張り続けられるんだと思っています。
この仕事の尊さに気づかせてくれた ある家族の撮影
ーーフォトグラファーデビューをしてから1年が経ちましたね。
田中:ようやく余裕を持って、お客さまと会話を楽しみながら撮影ができるようになってきました。
お客さまからも撮影後に感謝の言葉をいただくこともあって。私の撮影への姿勢を大きく変えるきっかけとなったお客さまもいました。
ーーどのような出会いだったのですか?
田中:お子さまが生まれてすぐ、先天性の病気が発覚したご家族でした。1歳のお誕生日で撮影に来てくださって。この1年間も入院をすることもあって、発症すると今できていることもできなくなってしまうかもしれないことを話してくださりました。
お母さまが言った、「人生で1番泣いて、1番笑った1年だった」という言葉が心に残っています。
ご家族にとって当たり前に送る日々が当たり前ではないこと。日常がどれだけ尊いかを心から感じられていることが、会話をさせてもらう中でわかってきて。息子さんの一瞬一瞬や、一緒に過ごせる毎日の日々をとても大事にされていました。
そんなお話を聞かせてくださって、私は、今現在の息子さんの姿を全て残そうと思いながら撮影をしていきました。
八の字眉毛やぷっくりとした唇がチャームポイントだと教えてくれたお父さまとお母さま。お子さまが大きくなってからも写真からお二人の愛情を感じ取れるような瞬間を写真に残したと話す。
田中:でも、お子さまの一瞬一瞬を大切にされているのは、このご家族に限らないと撮影後に思ったんですよね。ハイハイしている姿もその時期だけの貴重なものですし、小さな手やその子を思うご家族の表情、そのすべてが今この時しか見ることができないものだと気づいて。
息子さんのどんなところがかわいくて、どんなところが好きなのか、楽しかった思い出などをたくさん聞き出して。次にお会いできたときには同じしぐさを見ることができないかもしれないと、先の未来にも思いを馳せながら写真に残していきました。
ーーとても素敵な時間ですね。
田中:本当に。後日、お母さまから嬉しいメッセージをいただきました。撮影時間のことを、幸せなひとときだったと言ってくださって。今後も一緒に息子の成長を見守ってほしいという言葉もいただいて、またお会いできる日を楽しみにしながら仕事をするようになりました。
当たり前にある日常のどれもが実は永遠ではないかもしれない。そう思いながらお客さまに向き合うと、何気ない瞬間にも気づくことができるようになってきて。お客さま自身も気づいていないような大切な時間を写真に残して届けていきたいと、強く思うようになりました。
2024年入社の後輩たち8人に向けて、内定式でメッセージを伝えた田中。今もまだ苦戦をすることがある中でのやりがいや、成長できる環境がクッポグラフィーにあることを言葉に綴った。
お客さまと再会したときに 成長した自分でいられるように
田中:クッポグラフィーに入ってまだ1年ちょっとですが、お客さまと次にお会いしたときに、前回よりも成長したと思ってもらうことが、私の密かな目標になっています。
ーーお客さまと再会したときのことを目標にできるのは、クッポグラフィーならではですね。
田中:そうなんです。撮影以外でも、カフェに立ち寄ってくれたり、お花を買いに来てくれたり、いろんな形で再会できるので。
先日もお子さまと撮影に来てくださったご家族と再会する機会があって。バリスタのスタッフが気づいて、私を呼びに来てくれたんですよね。最初の撮影のときにはつかまり立ちだった息子さんが歩くようになっていて、その成長の早さにびっくりしました。
このご家族は、息子さんが1歳のときに撮影を担当させてもらった方々で、撮影後のスライドショーでは、お母さまが涙を流しながら喜んでくださって。いつもの息子さんのありのままの姿を写真に残せたと、後日メッセージもいただきました。
再会する度に息子さんの成長を一緒に喜んで、ご家族との距離も縮まっていって。こんなにやりがいを感じられる仕事ができて、私は幸せ者だと思います。また撮影をお願いしていただいたときに、心の支えになる1枚を残せるように。これが今の私の目標です。
取材・文:石垣藍子
撮影:クッポグラフィー
関連リンク:
クッポグラフィー ‘25新卒採用ページ
https://www.kuppography.co.jp/25recruit-entry
クッポグラフィー フォトグラファー募集ページ
https://www.kuppography.co.jp/recpg
クッポグラフィー ヘアメイクアーティスト募集ページ
https://www.kuppography.co.jp/recst
田中が更新を担当しているクッポグラフィー駒沢公園スタジオのInstagram
https://www.instagram.com/kuppography_komazawa