マーケティングのプロが加わり見えてきた クッポグラフィーの写真の価値と進むべき道
すべての人が「心の支えになる写真」を持っている世の中になるように。その思いを胸に、様々な職種のメンバーがクッポグラフィーを支えています。
本シリーズでは、メンバーのインタビューを通して、仕事やスタジオの空間づくり、お客さまへの思いなど、写真が生まれる背景をご紹介していきます。
今回は、マーケティングマネジャーの石川諒子。
異業界からの入社で、クッポグラフィーにどんな変化をもたらしたのか。マーケティングを通して見えた、クッポグラフィーの価値や彼女の思いを、代表 久保との対談でお届けします。
写真で繋がり続けていつしかクッポグラフィーのファンに そして入社へ
ーー石川さんはまだ入社して半年ほどですが、お二人のお付き合いは長いそうですね。
久保:2013年からなので、もうすぐ10年ですね。
石川:私の結婚式のときに撮影を久保さんにお願いしたのが出会いです。
ーーお客様だったんですね。どうしてクッポグラフィーに写真をお願いしたんですか?
石川:結婚式ってその日で終わってしまうので、写真はすごく重要だと思っていて。自分の好みに合う写真を撮っているフォトグラファーをインターネットでかなり時間をかけて探しました。当時はインスタグラムなど、まだみんながやっていなかったのでなかなか見つからなくて。
久保:当時僕は、ぼろいマンションの一室を事務所にしていた時代でした。僕とまだアシスタントしかいない頃でしたが、WEBサイトでの紹介はきちんとやっていたほうだったのでよかったです(笑)
石川:久保さんの写真を見て、この人だ!と思ってすぐに連絡しました。
ーーほんと素敵な写真ですね。
石川:お恥ずかしいですが、あのときを思い出せる大切な写真になっています。その後も、子どもが生まれたときに撮影してもらったり、家族ぐるみの付き合いが続いていきました。
ーーそれで、入社にまで至ったと。
石川:既にクッポグラフィーのファンになっていたので、どんな雰囲気なのかも知っていましたしね。久保さんがSNSでマーケターを募集していることをあげているのを見て、「ちょっとお話いいですか?」って連絡しました。
久保:まさか来てくれるなんて(笑)諒子さんが外資系の会社でバリバリ仕事をしていたのを知っていたので、本当にいいのかなと思ってしまったくらいで。
クッポグラフィーがマーケティングを必要とした訳
ーークッポグラフィーでマーケティングの方を採用しようと思ったのはどうしてだったんですか?
久保:諒子さんが入社する前は、会社全体に関することはすべて僕が一人で考えてやっていたんですよね。でもちょっと限界を感じてしまって。
ーー限界?
久保:「すべての人が心の支えになる写真を持っている世の中をつくる」というミッションを掲げてこれまでたくさんの写真を届けてきたのですが、マーケティングや広報など、現場でシャッターを切らない人も社内にいないと世の中に浸透していかないと思ったんです。物理的にもスタジオを増やして届けていきたいと思っているので、僕一人の頭の中で考えて指示を出していくのは限界でした。
ーーそんなときに石川さんが入社してくれたんですね。
“すべてはマーケティング次第で変わる” 見えてきた目指すべき方向性
ーー大学在学中はフランスに留学。卒業後は外資系メーカーで働いていたそうですね。
石川:大学や留学中も、マーケティングやInternational Businessを専攻していたのですが、ビジネスをマーケティングの視点から考えることがすごく面白くて。
ーーでも、外資系の化粧品メーカーは競合も多くて厳しそうですね。
石川:厳しかったです(笑)当時はプロダクトマネジャーを担当していたので、新製品をローンチさせたり、売り上げをどうやって伸ばしていくかの戦略を立てていましたが、発売日に向けてのプレッシャーがすごかったですね。でも、プロダクトマネージャーはチームのハブになって周りをリードしながら進めていけるので、やりがいと面白さはすごくあって。
ーーそんな中、クッポグラフィーに転職したんですね。なにかきっかけがあったんですか?
石川:きっかけは子どもができたことでしたね。1人目はなんとか保育園や周りの人のサポートを受けながら仕事ができていましたが、2人目を出産した後に、ああもう無理かもって。外せない会議があったり、絶対に休めない状況があったりしたので、自分の精神状態が子どもとの生活にも影響するなと思い始めたんですよね。
ーー子どもがいると想定外のことも起きますしね。クッポグラフィーに転職してからはどうですか?
石川:在宅勤務を利用しながら働いているので、子どもに割く時間ができて心にも余裕ができました。以前は夕飯を保育園にお願いしていましたが、今は一緒に食べることができるようになりましたし。子どもにイライラすることも少なくなりましたね(笑)余裕ができると、クリエイティブな思考もできるようになって、仕事にも良い影響が出ています。
ーー自分が望む生活ができることって仕事をする上でも大切なことですよね。
石川:入社前の面接のときに、久保さんが、「諒子さんはこれからどういう人生を送りたいと考えていますか?クッポグラフィーで働くことで実現できたらいいなと思ってます」って言ってくださったんですよね。それで私は、子どもがもう少し大きくなったら、夏休みには海外のサマースクールに通って、自分はリモートワークで働きたいという話をしました。子どもにも海外経験をさせたいので、仕事と両立できる方法を探っていきたいなと思っています。
ーー個々の生き方も入社前に聞いているんですね。
久保:クッポグラフィーでできることであれば叶えたいと思っているので。組織が個人の生き方まで決めつけるのではなく、それぞれが描く理想の人生を尊重して、クッポグラフィーで実現できるかどうかを考えていくのも重要だと思って面接のときに聞いています。
ーーマーケティング経験が豊富な石川さんが入って、クッポグラフィーにとってどんな影響がありましたか?
久保:全社戦略を立ててくれて、年間計画を作ってくれて、スタッフみんなが目指すべき方向を示してくれました。社内のハブ的な存在にもなっていますね。
石川:何もなかったんですよ、戦略も計画も(笑)そもそもマーケティングチームも存在してなかった。すべてがゼロベースからのスタートで。
久保:何も言えないですね(笑)僕はクッポグラフィーが広がることの意味を信じている一人だけど、ビジネスのプロかと言うとそうではない。自分の社会人キャリアのほとんどはフリーランスのフォトグラファーだったので。具体的にどう広めていくか、皆に示せるものがなかったんですよね。
石川:でも変に形だけの戦略があるよりも良かったです。久保さんにどんどん提案して、すぐにGOサインをくれるスピード感もワクワクしましたし。まずは、全社戦略と年間計画を立てるために、各セクションのキーパーソンとミーティングをしました。
久保:もうそのプレゼンスがすごい。今までうちは個人商店みたいな感じでやっていたんですよね。すべてそのときの僕の思いで、こうするのがいいんじゃないかと伝えてやっている状態にしてしまっていた。そうなると、すべてのことにおいて、みんなが僕に判断を仰がなくてはいけなくなってしまって、やりづらくしていたと思います。戦略ができたことで考えるための基準があるので、みんな動きやすくなったんじゃないかな。
石川:新しく戦略をつくったわけじゃなくて、久保さんの中にあるものを聞いて戦略にまとめただけで。明確に見えるようにしてみんなに伝えただけなんです。
「顧客中心主義」で仕掛けた 新店舗の成功
ーーで、その戦略ですが。どんな内容なんですか?
石川:一つは、「顧客中心主義」です。よく陥りがちなのは、「自分たち中心主義」
自分たちがやりたいことや、自分たちが良いと思うものをやって、それを買ってくれる人を探そうっていうパターンです。
そうではなくて、来てほしいお客さまのことを考えた上で、自分たちの軸を変えずにどういうことをしたら喜んでもらえるかというのを第一に考えれば、自然とお客さまは来てくれるので。
久保:写真ってすごく自分たち中心主義になりがちで。自分たちうまいだろうみたいな。でも、本来は結婚式とかお客さまの大切な機会が、自分たちの技術の披露の場になってはいけないですよね。顧客中心主義って、マーケティングにおいてはすごくベーシックなことかもしれませんが、それを写真業界でやるのは意味があることだなって。
ーー実際に「顧客中心主義」の戦略でやってみた施策はありますか?
石川:入社して最初に挑戦したのは、3月の桜のフェアですね。駒沢公園スタジオには、2つ撮影ルームがあって、その1つがあまり利用されないっていう課題があったんです。空いている1部屋を使って、卒業や入学の時期に桜の木をスタジオ内に入れて、卒入学の写真を撮るフェアを企画したら、一瞬で完売しました。
久保:あれはすごかった。今までは、新しい発想で企画することには力を入れてきたのですが、卒入学と桜を掛け合わせるといった一般的にイメージするようなことにはチャレンジしてこなかったんですね。新しい発想も大切なことですが、「使われていない部屋を有効活用する」といった目的もあったので、需要が未知数なところに敢えて挑戦するよりも、桜と撮るという既にある需要とクッポグラフィーを掛け合わせてみてはどうかと提案をしてくれたんです。
ーー世の中のニーズを読めば、特別なことを始めなくてもいいということですね。
石川:そうですね。クッポグラフィー自体を大きく変えなくても、今持っているものとお客さまのニーズを掛け合わせてみたら自然とお客さまが来てくれたんです。マーケティングチームとして一番最初にやったプランが成功して、私もチームの子たちも自信を得て、すごく良いスタートを切ることができました。
その後の「福岡スタジオのオープン」というビッグイベントへの勢いにもなって。オープン前からPR戦略を考えて打ち出したんです。
ーーどんな施策を打ったんですか?
石川:一つ目は、スタジオと親和性の高いローカルインフルエンサーを起用して、オープン前にサンプル撮影をしたりインスタグラムでの宣伝をお願いしました。クッポグラフィーは、関東だとウェディング業界を中心にある程度知名度があったりしますが、福岡では無名で。そこでどうしたら福岡の人に来てもらえるのか…、考えましたね。
ーー反応はどうでした?
石川:地元のテレビ局など、メディアからも問い合わせが来たりしてすごくよかったです。福岡スタジオのインスタグラムもアカウントを開設して2週間で1000フォロワー超えで。
ーーそれはすごい!
石川:勢いがついたところで、さらにオープン前に一般の方向けに、クッポグラフィーの撮影、カフェ、お花、すべてを体感してもらう無料イベントを企画しました。先着20組で募集したら即日予定数を超えた応募がきて、もうみんなで大喜びでした。オープン時にうまくいかなかったらみんなのモチベーションも下がってしまうし、その後の売り上げにも響くなと内心冷や冷やしていたので、うまくいってほんとよかったです。
久保:オープンの初月からご予約をたくさんいただいて、これまでのスタジオのオープン時とは、比較にならないくらいいっぱいで。ほんとすごかったです。
“お客さまと繋がり続ける”ビジョンを達成するための戦略
ーーもう一つの戦略はどんな内容なんですか?
石川:これまでのお客さまにまた来てもらって「顧客生涯価値」を最大化させることに力を入れることを戦略にしました。そして、何度も足を運んでもらうための施策を考えています。そもそもクッポグラフィーって、お客さまと繋がり続けることをビジョンに掲げていて、これまでやってきていることをもっと戦略的に行うだけなので難しいことではないかなと。
久保:戦略として掲げてもらうと意識が変わりますね。ビジョンとして掲げているのに、それをどうやって実現するかっていうことは明確に謳っていなかったので。
石川:どうしたらお客さまにリピートしてもらえるかをチームで考えて、新しいアプローチ方法をどんどんやってみています。例えば、日常の家族写真って、いつも子どもが中心で写っていることが多くてお母さんが写っている写真って少ないですよね。
ーーはい、我が家も私が写っている写真はほとんどありません(笑)
石川:うちもです(笑)お母さんって撮る側が多いですよね。そこで、今年5月には、母の日にお母さんが中心の写真を撮影してプレゼントする「母の日フェア」をやってみたんです。お子さま自身が作った花束とドリップパックもセットにした撮影プランで。
ーーなるほど!機会を用意してくれるとフォトスタジオに行きやすいかも。
石川:クッポグラフィーには、七五三や一歳の誕生日など、子どもの成長の記念に撮影に来てくれる方が多いですが、これまではそれ以外の機会が少なかったんですよね。結婚したらすぐに子どもができるわけじゃないし、子どもを持たないカップルもいて、家族の形は様々なので。私たちの方から機会をたくさん生み出していって、スタジオにお客さまが戻ってきてくれるようにすることが今年の目標ですね。
ーー直近ではどんな企画をするんですか?
石川:もうすぐ敬老の日なので、おじいちゃんおばあちゃんが主役となるようなフェアを開催する予定です。形にして残すこともできますし、会ってありがとうを伝えるきっかけにもなるといいなと思っています。
ーー確かに。一緒に写真撮ることが家族が集まるきっかけにもなりますね。
石川:こういった年間で決まっている記念日と撮影を絡められるタイミングを考えて、今年度のスケジュールは既に決まっています。あとは、チームメンバーとディスカッションしながら施策の中身を決めていって。
久保:スケジュールが決まっているとみんなやりやすいですね。今までは都度都度その場で決めていた状態で、年間カレンダーなるものはなかったので(笑)。うまくいかなかったら方針をコロコロ変えたりして、昨年度の比較とか分析もちゃんとできていなかったんですよね。自分たちに足りなかったことがようやく見えてきました。
戦略ができて見えた クッポグラフィーが一番大切にしたいこと
ーー石川さんが考える、クッポグラフィーの価値って何だと思いますか?
石川:「ストーリーフォト」っていうのが、一番クッポグラフィーらしい軸だと思っていて。作りこまれたものではなくて、そのときの空気感が伝わるような写真。私も経験しましたが、何年後かにその写真を見ただけで、そのときに話していた言葉とか、においとか、温度感とか、全部蘇るような写真なんですよね。
ーーそのストーリーフォトを軸にしていく。
石川:そうですね。これまでも写真に関して大事にしているところはみんなの中で共通としてあったと思いますが、同じ温度感で接客をしたり、文章のテイストなどもそこに寄せていくことで、今はまだバラバラな印象がある部分も統一していけると思っています。
久保:既に自分たちの中にあるもので、他社や他人が持ってないものがどこなのかとか、本質的に大事にすべきことは何なのかっていうところが、諒子さんやマーケティングチームのおかげで少しずつ見えてきましたね。
石川:全国の人がクッポグラフィーってこうだよねって言えるようなものを作っていきたいですよね。
久保:そうだね。目指す方向性やそれぞれの役割も明確に示されて共通の判断基準ができたので、個々が自分で判断して行動できるようになってきたのは大きいです。いま、クッポグラフィーは過渡期にいて、2020年にリブランディングをしたことで、クッポグラフィーの写真や空間、すべてが一つになろうとしています。
今回、諒子さんというマーケティング専門の人に入ってもらえたおかげで、組織としてみんなでクッポグラフィーの価値を伝えていくという次のフェーズに入りました。メンバーには新しいことに恐れずどんどんチャレンジしていってもらいたいです。
取材・文:石垣藍子
撮影:クッポグラフィー
関連リンク:
敬老の日フェア「今年は会って、ありがとうを」
https://www.kuppography.studio/keiro-2022
クッポグラフィー マーケティングセクション プロジェクトマネジャー募集ページ
https://www.kuppography.co.jp/rec_mktg
関連イベント:
9月17日(土)11:00 ~ 17:00
キャリアSNS用ビジネスポートレート撮影会(無料)
https://www.kuppography.co.jp/news-blog/220901-business-portrait