男の子の七五三は、3歳でも5歳でも、写真を残してほしい。母として、スタイリストとして、伝えたいこと
男の子の七五三は3歳も5歳も写真を残すもの?ちゃんと着物は着てくれるの?そもそもおしゃれな着物がなくて困っている・・・
そんな悩みを聞くことがよくあります。
今回は息子をもつ母親として、スタジオで働くスタイリストとして、私自身の体験談と想いをお伝えします。
男の子の七五三は5歳だけ?
七五三といえば、子どもの成長をお祝いする大切な節目ですよね。そもそもの意味として、大きく3つに分けられています。
3歳は、伸ばしていた髪の毛を切る髪置きの儀
5歳は、初めて袴を身につける袴着の儀
7歳は、紐付きの着物から帯を締めるようになる帯解きの儀
男の子の七五三は、5歳の一度きりだと思っているパパママも多いと思いますが、地域によっては男の子の3歳をお祝いしているところもあるんですよ。
実はクッポグラフィーでも、3歳男の子の七五三撮影が年々増えています。
七五三の意味を理解しつつ、成長過程や当時の記憶がいつでも思い返せるよう、3歳と5歳のどちらも写真に残してほしいなと思っています。
3歳男の子は楽しいハプニングの連続。5歳男の子はかっこよさの中にかわいさも
<3歳の七五三>
撮影は、お子さんのペースを見ながら進めています。私たちが予想もしないハプニングばかり起こるのですが、それがまた楽しい。そしてそんなハプニングにこそ、その子らしさが詰まっているんです。
慣れない着物に歩くのもやっとで、ペンギンのようにちょこちょこ動く姿は3歳ならでは。
足袋はくすぐったいからすぐぬぎ捨てちゃう。腰ひもや襟は着慣れなくて苦しいから、なんでこんなの着ないといけないのって座り込んだり寝転んだり。
スタッフはもちろん、両親の思い通りにいかない撮影になるのも3歳!
そんな自由な気持ちを発散した七五三の写真を残せるのも、3歳のうちだけかもしれませんね。
3歳は初めての着物ということもあり、なるべくストレスなくパッと着られるように、クッポグラフィーのオリジナル着物は被布着物で作っています。
<5歳の七五三>
5歳にもなると、男の子は背筋を伸ばしてビシッっとかっこいい姿も見せてくれるようになります。でも、パパやママに囲まれるとニヤ〜っとかわいい笑顔で体をクネクネさせて、照れる一面も。
いろんな子がいるけれど、みんなに共通して言えるのはパパとママが大好きだということ。手を繋いであげると、みんな本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれるんです。
かっこいい姿と、まだまだ甘えたいかわいい姿の、どちらも残せるのが5歳の七五三の一番の魅力です。
写真を見返したときに蘇る、その時の家族の時間も、とても懐かしくてクスッと笑える思い出になるはず。
では実際に、3歳と5歳の撮影にきてくれたご家族を紹介したいと思います。
じんくんの七五三
これまでたくさんあった撮影で印象深ったうちのひとつが、じんくんの七五三です。
じんくんとの初めての出会いは、2017年。3歳の七五三前撮りの時でした。着物を着るのが嫌で嫌で逃げ回るじんくんと、必死に追いかけるママと私。
あの手この手で気をひきながらそっと着せても、気づかれるとすぐに「ヤダ〜」て大泣きしながら暴れまくり、着物を脱ぎ捨てるじんくん・・・何分じんくんと戦ったかな?(笑)
お手上げになったママは、お仕事中のパパに電話をかけました。じんくんはパパに「お着物が着れないの」と泣いていました。
着物を着なくてはいけない状況も理解していたじんくん。着付けを嫌がりながらも、ときおり笑顔で暴れている瞬間も見せてくれていたので、「じんくんなら大丈夫だ!絶対に着れる!」とその時私は確信しました。
パパとの電話を切ってからは、じんくんと遊ぶことに専念。
私がそうした理由は自分の中でずっと残っている後悔があったからでした。
私にはもう成人手前の息子がいます。息子の七五三の時、カメラを嫌がる息子に「笑って笑って〜!もっとビシッとして!こっち向いて!!」と夫婦でうるさく言いながら写真を撮っていたのをいまだに後悔しています。
その時の写真を息子は見たがらないし、実際、への字口をしている写真かあっかんべ〜の写真しか残っていません。
無理に笑わせる必要なんかなかったのに、息子の気持ちを考えず、緊張をといてあげることをしなかった自分たちに反省するばかりでした。
だから、とにかく着物のことは一旦忘れて、じんくんの気持ちを一番に考えてあげようと思ったんです。
そして、ママと少し離れて、私とじんくんだけの時間を作ってもらいました。
じんくんはたくさんお話をしてくれました。恐竜が大好きなこと。ママが大好きなこと。パパはお仕事を頑張ってるけれど、いつもたくさん遊んでくれること。
「じゃあ大好きなパパとママをびっくりさせようか」とじんくんに伝えたら、「うん!着物、着る」って言ってくれて、着付けをしながら涙をこらえるのに必死でした。
着付けの途中で「もう大丈夫!」と確信した私はママを呼び、着付けを頑張っているじんくんの姿を見てもらいました。
一人で撮影に来て不安を抱えていたママは大泣き。じんくんをたくさん褒めてあげていました。
それからは笑顔いっぱいで、じんくんらしい七五三の撮影ができました。
それから2年後、じんくんは5歳になって、家族3人で七五三の撮影に来てくれました。
じんくんはとっても成長していました。
着物も一瞬で着てくれて、あの頃みたいに泣き叫ぶじんくんはどこにもいませんでした。子どもの2年って本当にびっくりするくらいの成長ですよね。
変わらなかったのは、5歳になったじんくんが恐竜をまだ大好きだったこと。
あの頃よりも大きな恐竜を両手に抱えて、笑顔でスタジオに入ってきた時は、本当に嬉しかったです。
着物がいやで泣き叫んでいた3歳のじんくんから、かっこよく袴を着て、大好きな恐竜をたくさん紹介してくれた5歳のじんくんへ。
「本当にお兄さんになったね〜」と、私たちは何度も口に出して伝えていました。
子どもの成長を感じられる瞬間は日々いくつもあるけれど、写真として鮮明に残ることでさらに数年後、我が子の成長を改めて感じられると思います。
じんくんの撮影で、写真に残すことの大切さを改めて実感しました。
男の子の七五三も、自分らしく残そう
いざ七五三の撮影をしたい!と思って着物を探してみても、男の子は選択肢が少ないことに気がつきます。
私も、息子の七五三で着物を探していた時に、龍、鷹、兜、金・・・「他の柄はないのかしら?」と思っていました。
もちろんそれらの柄には縁起物としての意味があり、代々受け継がれた着物はとてもかっこいいと思います。
でも当時の私が感じた「男の子の着物の選択肢の少なさを解決したい」という思いが、クッポグラフィーでオリジナルの着物を作るきっかけになりました。
まず、子どもが「これがいい!」と自ら選んだ着物ならきっと着てくれると思っていました。
男の子の好きな色は?柄は?
かっこいいものが好きな子もいれば、かわいいものが好きな5歳もいる。さまざまな好みに対応できるように種類も増やしていきました。
実際、動物や数字の柄を着物に取り入れたら、とても人気が出て、ありがたいことに遠方からわざわざ来てくれる方も年々増えていきました。
様々な柄から好きなものを選択したり、七五三にとらわれず、帽子をかぶったりメガネをかけたり。あるいは靴下やブーツでおしゃれにコーディネートも素敵。
そうやって男の子もおしゃれに個性的に、自分らしく写真を残してほしいと私は考えています。
男の子は本当にあっという間に、ママの手から離れて行ってしまいます。
手を繋いで歩いてくれる時間は本当に一瞬。だからベタベタくっついてきてくれる間は、家事や育児に忙しくても、数秒でもいいから子どもの手を握り返してほしい。
家事も仕事もないスタジオが、お子さんとの向き合う時間になれば嬉しいです。
心配なことや聞いてみたいことがあればお気軽にご相談くださいね。