結婚式でゲストのポートレートを撮る、新しいウェディングフォトのカタチ。
現在、ウェディングフォトグラファーとして入らせていただいている、IWAI OMOTESANDO。
「ゲストが本当にお祝いできる結婚式」というコンセプトのもとに作られた、ミニマルかつシンプルで斬新な会場です。
合わせてウェディングフォトもこれまでにない新しい形を提案しています。その一つが「結婚式でゲスト全員のポートレート写真を撮る」というもの。
今回はそこにフォーカスし、なぜポートレートを撮るスタイルにたどり着いたのか。そして新郎新婦やゲストの反応、新しいウェディングフォトのスタイルから見えてきたものを、現場のフォトグラファーからお伝えします。
シンプルに、そして本当に祝うために必要なウェディングフォトを。
僕がよく撮影に入らせてもらっているIWAI OMOTESANDO。ここはオリジナルウェディングで有名なCRAZY WEDDINGさんが初めて持った自社ブランドの会場です。オープンは2019年2月でした。
冒頭でも触れましたが、IWAIという場所はシンプルでミニマル。だけど斬新で面白く、「ゲストが本当にお祝いできる結婚式」をコンセプトにしています。
例えば、わかりやすい部分でいうと高砂がありません。ゲストと新郎新婦との境界線になってしまうから。そしてゲストが主役となる結婚式にするため、という理由で無くしているそうなんです。
そういったところ以外にも、従来の「結婚式」という概念に囚われず、随所にゲストのことを中心に設計されているなぁと感じます。
実はIWAIのオープン前、CRAZY WEDDINGの創設者である山川咲さんから、新しい結婚式の形について考えているとのお話がありました。
その構想を聞いた弊社代表の久保が「それならば、ウェディングフォトの形も見直そう」と決意。
今までのような時系列の結婚写真ではなく、”人生を振り返られるようなアルバム”にすることを、IWAIにおけるウェディングフォトのコンセプトにしました。
それと同時に、ゲストのことを大切にしている想いを表現するために、「一人一人の顔が豆粒のように小さくなってしまう集合写真にはしたくない。それぞれ個性が出るようなポートレート撮影がいい」ということでこのスタイルが始まったのです。
新郎新婦の反応
これには新郎新婦からの嬉しい感想が大きく分けて二つあります。
一つめは、「何人ものゲストが『ポートレートの撮影が楽しかった』と言っていました!」というお声。
そもそもポートレート撮影は、「新郎新婦からゲストへ向けてのプレゼント」なんです。
だから、写真だけではなく、撮影体験も楽しいものにしたい。そう日頃から強く思って撮影していたので、その言葉はとにかく嬉しいものでした。
もう一つは、「自分の大切な人たちの、いい表情を撮ってくれてありがとうございました」というお声。こちらは実際にいただいたメールをご紹介しますね。
「あらためて皆のポートレートが素敵すぎて泣きそうになりました。生きている人の笑顔の写真で泣きそうになるなんて、人生で初めてです。」(弊社カメラマンの岡本が撮影したお客様からのお礼メールの引用です)
本当にありがたく、嬉しいお言葉。
新郎新婦にとって本当に大切な人たち、自分たちの人生に関わってくれた人たち一人ひとりの個性をひとまとめにしたアルバム。考えてみれば、これまであるようでなかった。ほんとうに良いものだなと感じています。
だって、自分も欲しいですもん。(笑)
ポートレート撮影の方法と、被写体となるゲストのこと
では実際、当日はどのように撮影しているのか気になるところですよね。
結婚式でポートレートの撮影をするという経験はなかなかないもの。だからまずは、ゲストに撮影自体を楽しんでもらいたいと思っているんです。
IWAIのウェディングでの基本的な流れとして、挙式があってその後に食事や歓談を楽しむパーティーがあります。
そのパーティー会場の一角に撮影ブースを用意。スタッフから順次ゲストの方に声かけをしてもらい、撮っていきます。
そうは言っても、一人で写真を撮られる時って妙に緊張しますよね。どんな顔していいんだろう・・・となってしまうのは当たり前のこと。
少なくとも僕はそうです(笑)
じゃあ、そんなゲストの方たちに楽しんでもらうためにどうやって撮っているのか。僕はまず、撮影の順番待ちをしている人たちをよく見いてます。
「横顔が素敵」「腕を組んでいる姿が落ち着くのかな」「ストールが綺麗」なんてことを考えながら。その人のキャラクターやテンションも見ていますね。「明るそうな人だな」とか、「いじられ役なのかな」とか。
例えば、右の横顔が素敵で、ニコニコ明るそうな女性ゲストがいたとします。
その方に対して、横顔が美しく見える似合いそうなポーズを、僕が実際その立ち位置に立ってやってみせます。その場が和むんですよ。(笑)
そして、「お願いしますと言ったら、僕が立っていたところで先ほどのポーズをしてみてください」とお声がけし、そこから「よーいアクション!」という感じで撮影開始。
実際やってもらうと、周りで見ているゲストの方も「ヒュー♪」と言って盛り上げてくれるので、その場が楽しい空気に包まれるんです。それで多くの方は照れたり、体勢を崩して笑ってくれたります。
実はその瞬間が一番大切なところ。その時に全神経を集中させています。
その一瞬に「その人らしさ」と「その人の素敵ポイント」が写っているから。
もちろん、全ての人に同じことをお願いしてもうまくいかないので、笑顔になりそうなお題を振って笑顔を引き出して撮ることもありますよ。
その人の魅力は、カメラを意識していない時に現れる
そうそう、なぜ僕がたくさん声がけをしたりしながら撮ろうと思ったのか。先ほども少し言いましたが、僕自身、写真を撮られるのが苦手だからというのが根底にあるんです。
僕はカメラの前で笑ってって言われたり、かっこ良く写ろうと思ってうまくいった試しがありません。
そんな僕でも「あれ、自分ちょっといけてる・・・?」って思った写真が人生で何枚かあって、そこに共通してるのは、撮られていることを意識してない時の写真なんですよね。
その体験から、撮られているという意識を取っ払って撮りたいな。と思うようになりました。
何より、そんな風に撮影した体験も思い出として持ち帰ってもらえると嬉しいなぁと思っています。
※安全面につきまして
現在、誰もが予想していなかったこの情勢。結婚式を行うことに抵抗や不安を感じる方は間違いなく増えてきていることでしょう。
そんな中、会場に溶け込むスタイルで安全面に配慮しながら、IWAI OMOTESANDOでは日々サービスを提供されています。
ウェディングフォトグラファーとして、この場所で出会えたご縁を大切にしながら、特別な一日を残すお手伝いをしていきたいと思っています。
(※注:IWAIには僕以外のフォトグラファーが撮影に入ることもあります。撮影のアプローチの仕方は人それぞれなので、あくまでこれは僕の例として読んでいただければ幸いです。)
結婚式というのは、自分の大切な人たちが、人生の中でもとても大切な日に集まって、みんながそれぞれ最高の表情をしているんです。
そんな特別な日に撮るポートレートで残したいのは、ゲスト自身が気がついていない魅力。そして、それを丁寧に集めて新郎新婦がゲスト一人ひとりに思いをはせられるアルバム。
そこから「結婚式をして良かった」とか「この人たちがいたから今の自分がいるんだな」という感情を、受け取ってもらえたら本望です。