株式会社クッポグラフィー ウェディングフォト・ファミリーフォトの撮影

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きほのちゃんファミリーと再会。写真は「今を生きた証」であるということ。(後編)

私の家族写真に対する価値観を変えてくれたきほのちゃんファミリー。前編では、久々に再会しその様子をお伝えしました。

実は再会する前、私が「みんなに会いに、和歌山に行きたい!夏休みに、行ってもいいですか?」と、きほのちゃんのママであるありささんに伝えた時、「きほのには来年の夏があるかわからないから今来てほしい」という返信がありました。その瞬間、すぐに行こうと決めたんです。

(以前反響をいただいたきほのちゃんファミリーのブログはこちら)

きほのちゃんファミリーと再会。新たに教えてくれた、家族や写真のこと。(前編)

毎日が奇跡の連続

きほのちゃんファミリーと久々の再会を果たして写真を撮っている時、ありささんをふと見ると涙ぐんでいることがありました。

(きほのちゃんのおうちで、めぐが撮ってくれた写真です)

本当は伝えにくいことかもしれないのに、後日その涙のわけを、ありささんは丁寧に教えてくれました。

「あの時の涙にはいろんな理由がありました」

和歌山と病院のある東京との行き来が続いていて大変だったこと、なかなか思ったようにきほのの調子もついてきていなかったこと。

それと同時に、これまで家族揃ってこんなに長く一緒にいられたことがなくて、きほのが頑張ってくれてるから家族の時間を作れているんだなぁと感じていたこと。

この先、きほのを送らないといけない日がくるのは避けられないからこそ、今この時間を大切にしないといけないと思っていたこと。

『こまちさんに私たちの今をまだまだ写真に残してもらいたいけど、和歌山と横浜は遠くてもう撮ってもらえないかもしれない・・・』そう思っていた矢先のこまちさんとめぐさんの訪問。そしてこまちさん自身も、今この時間を、この瞬間を、残したいって心の底から思ってくれていること。

何より、『きほのの今がこれから先もずっと続いてくれますように』と思ったこと・・・。

そんなことを考えていたら、いつの間にか涙ぐんでいたんです。」

きほのちゃんファミリーはみんな、1日1日を大切に生きていて、今日をみんなで一緒に過ごせることが奇跡。だから、写真が揃った写真を残せることは本当に奇跡的なことなんです。

そして、きほのちゃんのこと、憎いはずの病気のこと、全部まるごと受け入れて、きほのちゃんと一緒に毎日を生きています。

写真は、「今を生きた証」

以前、大きな反響をいただいたきほのちゃんファミリーのブログを書いてから3年。

「いつかまた言葉にしたい」とあたためてきたきほのちゃんファミリーのことを今回書かせてもらう中で、少しずつ生まれた想いがありました。

それは、「きほのちゃんファミリーにとって、私がこれまで撮ってきた写真ってどんな存在なんだろう?」という想い。そこで思い切ってありささんにメールで伺ってみることにしました。

そしてその時のありささんのお返事が、わたしの想像を遥かに上回るものでした。

「これまでこまちさんに撮ってもらったたくさんの写真は、私たち家族の証。ののはときほのの成長の記録。きほのの生きた証。

いつかきほのが我が家からいなくなってしまっても、その写真を見たらいつまでもきほのがいるように感じたり、ののはが寂しくなった時に見てきほのを想ったり、寂しさが愛おしさとかあたたかさに変わったりするような、そんな存在になるって思っています。

また、撮ってもらった写真をいろんな場面で使わせてもらって、わたしたち家族を表現できるものにもさせてもらっています。」

唐突に聞いてしまったのに、胸に響くお言葉をたくさんいただきました。それと同時に、正直すごく衝撃を受けました。

きほのちゃんファミリーにとって私がこれまで撮影した写真は、私自身が思っていた以上に大きな存在であり、重要な役割があるものだったこと。

スタジオで撮影した写真、病院に駆けつけて撮った写真、旅で楽しく撮った写真。きほのちゃんファミリーにとって、どんな写真も人生と切り離せない大きな存在だということ。

たくさん辛い状況も乗り越えて今があるからこそ、それを当たり前と思わずに、今を残した家族の写真を大切にしてくれているのだと知りました。

私が写真を撮り続ける理由

私が今、写真の仕事を続けている理由を考えると、一番にきほのちゃんファミリーのみんなが頭に浮かびます。

先日、ありささんからこんな言葉もいただきました。

「きほのが生まれていろんなことがあるたびに『神様なんかいない』って思ったことも実はありました。でも、きほののことで辛いことや苦しいことがあった倍以上の、嬉しいこと、あったかいこと、幸せなこともありました。

その1つは、紛れもなくこまちさんに出会えたこと。

クッポグラフィーのホームページを見たとき、なぜかわからないけれど、『ここならきほのを託せそう』と直感的に思ったんです。

忘れもしない、勇気を振り絞って連絡した日のことや、初めてあのスタジオに向かった日のこと。撮ってくださった写真を見て、『私たち家族ってこんな風に写るんだ』・・・と、心底感動したこと。

そして『あぁ、夫と結婚してよかったな。あぁ、ののはが私たちのはじめての子どもとして私たちの元に来てくれてよかったな。あぁ、きほのを産んでよかった!』と思ったんです」

もう、目がパンパンに腫れ上がるまで泣いて泣いて。嬉しくて、ありがたくて、涙が止まりませんでした。

私は、きほのちゃんファミリーに出会って、自分の写真の存在価値を知りました。

そして交流を重ねていくことで、「同じような境遇のご家族にも、今を残してあげたい。同じように生きてる証を1人でも多く残してあげたい」という、人生の目標を持つようになっていました。

他にも同じような境遇のご家族が世の中にはたくさんいて、その方々の近くにも寄り添うカメラマンがいたら見える景色もきっと変わってくるはず。

この先のフォトグラファー人生、まだまだ何が起きるかわからないけれど、この目標は必ず叶えていきたいと思います。

きほのちゃんファミリーに出会った時、ありささんは「染色体異常をもって生まれてきて座位ができず、身体も小さいですが、七五三撮影できますか?」と、不安な様子でご相談がありました。

私はそこで初めて、写真を残したいと思っているのに、スタジオに行くことを悩んだり、諦めたりと、撮影に行くというところまでの距離が人によって違うということを知りました。

その距離は私が縮めればいい。ちょっと大袈裟かもしれませんが、今はそんな気持ちでいっぱいです。

そして、きほのちゃんファミリーとの出会いと、それがきっかけで生まれた様々な出会いに感謝し、これからもずっと家族写真をたくさんのご家族に届けていきます。