株式会社クッポグラフィー ウェディングフォト・ファミリーフォトの撮影

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ブライダルから七五三まで “一人一人の人生に寄り添う” ヘアメイクアーティスト

クッポグラフィーの誕生からもうすぐ13年。「すべての人が心の支えになる写真を持っている世の中をつくる」というミッションを掲げて、2021年は3,500組のご家族やカップルの皆様に写真をお届けしました。

そんなクッポグラフィーの「心の支えになる写真」が生まれる中で、いったいどんな物語があるのか。

本シリーズでは、仕事やスタジオの空間づくり、お客さまへの思いなどについて、メンバーへのインタビューを通して、写真が生まれる背景をご紹介していきます。

今回は、ヘアメイクアーティストの塚田桃子。

彼女が大事にしている“その人らしさ”を最大限に引き出すヘアメイクとはどんなものなのか。話を聞いてきました。

塚田 桃子(つかだ ももこ)。駒沢公園スタジオ チーフヘアメイクアーティスト。専門学校を卒業後、ブライダル専門のヘアメイクの道へ。2021年クッポグラフィー入社。現在は、ブライダルやファミリーフォトなど多岐に渡るヘアメイクの傍ら、新しいスタジオでの研修の講師としても活躍中。

ブライダル専門のヘアメイクからフォトスタジオへの転職

ーー以前は結婚式場でヘアメイクのお仕事をされていたんですね。同じヘアメイクの現場でも、フォトスタジオとは違いそう。

準備から違いましたね。結婚式は人生においてビッグイベントですし、支度の時間も限られているので毎回ドキドキでした。順を追って進められるように前日の夜はイメトレして挑んでいました。

ーー緊張感ただよう現場ですね。結婚式用のヘアメイクはどんなところが重要になってくるんですか?

作りこんで華やかに美しく見せることが重要でしたね。遠くの席にいるゲストが見ても映えるようなヘアメイクを意識していました。式は厳粛な場で、新婦様は一番注目される存在なので、失敗は許されない緊張感がありました。

ーークッポグラフィーではどうですか?

良い意味で緊張感がないですね(笑)

フォトスタジオは、親子でご来店されるお客さまがほとんどです。特にお子様を飽きさせないようにヘアメイクの最中でもお子様を楽しませて、緊張を解いてもらっています。撮影中いつもの表情が出ることが大事なので。

ーー同じヘアメイクでも、目的が違うと現場の雰囲気も全然違うんですね。どうしてフォトスタジオに転職しようと思ったんですか?

ブライダルのヘアメイクは高い技術が求められるのでとてもやりがいがありました。でも、結婚式1日だけのお手伝いで終わってしまうので、お客さまとはもうお会いすることはないんだなぁと毎回寂しくて。

その日1日だけではなく、結婚式の後もお客さまとのお付き合いを続けたかった。そうですね、人生に寄り添えるような仕事がしたいなぁと探していたんです。そうしたら、クッポグラフィーに出会うことができました。

失敗を重ねて気づかされた 目の前にいる人に向き合う大切さ

ーー年齢問わず色んな人のヘアメイクをしてるんですね。

そうですね。七五三の撮影で来られるお客さまが多いですが、毎回撮影中、私もお子様と一緒になって遊んで楽しんでいます。

ーーえ?ヘアメイクさんも撮影に入るんですか?

そうなんです。ヘアメイクだけではなく、お客さまのアテンドで撮影に入ります。時にはお子様と一緒になって遊ぶことも。

クッポグラフィーでは、ありのままのその人らしさを写真に残せるように、なるべく緊張をほぐしていつもの表情が出るようにみんなで盛り上げています。

ーーヘアメイクをして終わりじゃないんですね。入社して1年ちょっと経ちますが、うまくいかなかったこともありますか?

もちろんありますよ(笑)特に、3歳の七五三にはハプニングがつきものです。

入社当初は私以外にも新しく入ったメンバーが多かったので、撮影現場には緊張感が漂っていました。

小さいお子様にも緊張が伝わっちゃったのか、撮影スペースに入るやいなや大号泣。ずーっと泣き止まなくて私もどうしたらいいのかテンパっていたと思います。

ーーそれは焦りますね。

3歳くらいになると自我が芽生えて、着物を絶対に着たくない!と意志の固い子もいたりで、着物を着せるのは至難の業です。

私の顔を見るなりこの世の終わりかと思うくらい泣く子もいたりで、私の心も何度か号泣しました(笑)

ーーそれは泣きますね…(笑)

でも、入社してから半年くらいで、そういえば最近泣いちゃう子が減ったなぁと思ったんです。

クッポグラフィーの写真はありのままの姿を残すことを大切にしているし、親御様もそれを望んでいるので、私自身も無理やりでも笑顔にしなきゃっていう気持ちを捨てることができるようになっていたのかもしれないですね。

ーー何だか子どもってすごいですね。

ほんとそうですよね。私の心境の変化を子どもたちは敏感に感じ取っているんだなと気付かされて。

今も目の前にいる子にとって何がベストなのか迷う時はたくさんありますが、泣いちゃってもいいし、着られなくたっていいし、それが今その子の成長の証だから全部受け入れてあげようと向き合えるようになりました。

本音を聞き出すことが一番の仕事。内面を知ることがヘアメイクや写真に活かされる

ーーヘアメイクの仕事ってお客さまとの関係づくりがすごく大切な仕事なんですね。

いかに関係を深められるかが重要だと思っています。一番大事なのはコミュニケーションですね。

ーーコミュニケーション。ヘアメイクのテクニックじゃないんですね。

もちろん技術的なものも大事だとは思いますが、事前の打ち合わせはなくて、撮影当日に初めましての現場なので、何よりコミュニケーションですね。

この人がどんな雰囲気を持っていて、どんなものだったら受け入れてくれるのか、会話の中で感じていくような。

自分のこともいっぱい話してさらけ出します。1時間ちょっとの短い時間で相手のことをどこまで知れるか。普段はどんな生活をしているのか。ブライダルヘアメイクだったら、2人がどうやって出会ったのか。今悩んでいることまで何でも聞いています。

ーーヘアメイクそのものとは関係がない話もされるんですね。

ごくごく日常の話がほとんどですね。

でもそこから、どんな雰囲気が好きなのか、色味が好きなのか、その人のこだわりが見えてくるんです。しかも、打ち解けていくとお客様ももうちょっとこうしてほしいなど本音も言いやすくなりますしね。

あと、プロとしてワンポイントを重ねる提案もしています。

ーープロとしてのワンポイント?

例えば、あえて普段使ってなさそうな色味を提案したりしますね。自分では気づいていない魅力を引き出せるチャンスになるかもしれないので。

あとは、ウェディングの前撮りの場合は、事前にフローリストに花束*の色を聞いておいて同じような色味を使うことを提案してみたり。けっこう気に入ってくれる方が多いですよ。

でも普段と違いすぎると違和感を感じると思うのでその辺は気を付けています。七五三もそうですが、クッポグラフィーでは、“ありのままのその人らしさ”を写真に残すことを提案しているので、かしこまった姿じゃない写真がほとんどです。

なので、あまりに普段よりも濃いメイクにしたり、いつもの自分とかけ離れたお顔にしないように。どこまで受け入れてもらえるか、足し算引き算しながらやってます。

*クッポグラフィーではブーケのことを季節の花束と呼んでいます

異業種のプロフェッショナルたちが、チームとなり創り上げていく面白さ

ーークッポグラフィーは色んな職種の方がいますね。カフェエリアのバリスタとかフローリストもいる。

フォトスタジオにバリスタは珍しいですよね。異業種の仲間がいるのは心強いですよ。

ヘアメイクの仕事はお客さまのお支度前から撮影後の片付けまであるので、どうしても忙しくなりがちですが、「ちゃんと休めてる?」とか声をかけてくれたり。気にかけてくれる人がいるって思うだけで違いますね。

ーーお互いが支えあうことでクリエイティブな仕事ができている。

そうですね。毎回、異業種のプロフェッショナルたちがチームを組んでやってます。

私の場合、ヘアメイクで気持ちを高めてもらって送り出してから、スタジオではお客さまのアテンド役に転身してサポートに回るという。

ーーお客さまの気分を上げるプロフェッショナルでもありますね(笑)

言われてみればそうですね(笑)

それぞれの職種の立場から、お客さまとコミュニケーションを取って気づいたことも情報交換しているので私も助けられています。

例えば、フローリストに花の色を聞くときに、どうしてこの花を選んだのかなども聞くことができるので、ヘアメイクの時間に好みを聞き出す材料になったり。逆にフォトグラファーに、撮影前にお客さまの人となりを伝えたりもします。

ーー撮影後はチームで話したりもするんですか?

たくさんしますね。もう少しドレスをこうしてほしかったとか、髪をもうちょっとこうしてほしかったなどフォトグラファーから意見をもらうこともあります。

逆に私は、髪はこういう雰囲気にしたかったからこうしていたなどの自分の意図も伝えることができて、お互いの意見を尊重し合える場で刺激的です。今日のメイクすごくよかったねってフォトグラファーに言われたときはめっちゃ嬉しいですね。

前撮りでヘアメイクをしたお客さまがマタニティで帰ってきてくれた喜び

実は先日、ウェディングの前撮りを担当したお客さまがマタニティフォトの撮影でまた来てくれたんです。

ーーそれはすごい。お客さまとの関係を続けたいという夢が叶ったんですね。

そうなんです!すごく嬉しかったです。そして今回またヘアメイクも注文してくれたことに感激でした。

ーーマタニティフォトでヘアメイクされる方もいらっしゃるんですね。

マタニティフォトではヘアメイクをされない方もいるので、余計に嬉しかったですね。また依頼してくれたことで、あぁ本当に満足してくれていたんだなぁと実感しました。

もともと人とコミュニケーションを取ることに苦手意識がありましたが、こういった瞬間があるとコミュニケーションが楽しくてやめられないです(笑)

ーーどんな話をされたんですか?

前撮りのときは、趣味の話とか何気ない日常の話だったかな。普段からがっつりメイクをする方ではなかったのと、肌が荒れやすい悩みを持っていたので、その辺りを気にしながらメイクをしました。

ネガティブに感じていることも、ちょっとメイクを施すことで魅力的に変化すると、お客さまの表情も全然変わってくるんですよね。

今回は、これから生まれてくる子どもの話が多くなっていました。赤ちゃんができてからの生活の変化や、唇が荒れることなど体調の変化も話されていましたね。

ずっと顔を見てヘアメイクをするので、何だか顔つきに変化が出たなぁと。お母さんになる責任感のようなものが表情からにじみ出ているような感じもして、そんな瞬間に関われたことにジーンと感動していました。

人生に寄り添えるヘアメイクアーティストに

ーーまさに塚田さんが望んでいた、お客さまの人生に寄り添えるような仕事ですね。

念願が叶ってしまいましたね(笑)。なんて幸せな仕事なんだろうって。

次に会えるときには家族が増えている。私もお子様の誕生がすごく楽しみで、家族の一員のような気持ちになっています。

ーー今後やってみたいことはありますか?

スタジオに来られないおばあちゃんにもヘアメイクをしてあげたいという夢があります。

子どものヘアメイクに携わっていて思うのが、女性って年齢に関係なく、ヘアメイクをして綺麗になることにすごく喜びを感じてくれるんですよね。

自分が主役ではなくても、特別な日ではなくても、子どもから高齢の方まで、どんな人でもヘアメイクをして、そのときそのときの自分の魅力を写真に残して喜んでもらいたいです。

取材・文:石垣藍子

撮影:クッポグラフィー

関連リンク:

ふたりのポートレート(ウェディングの前撮り)
https://www.kuppography.com/futari

クッポグラフィー ヘアメイクアーティスト募集ページ
https://www.kuppography.co.jp/recst

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